株式投資をする上で無くてはならないのが証券会社の口座です。
今では外国株(特に米国株)が取引できる環境も一般的になりつつあり、日本株から初めて、いずれは外国株にもチャレンジしたいと思っている人も多いと思います。そこで外国株(米国株)投資に便利な証券会社を紹介しましょう。
日本で個人が口座を開ける証券会社は、大きく分けて国内証券会社と外資系証券会社に分けられます。今回は国内証券会社に注目します。
国内証券会社
国内証券会社には、昔からある店舗を持った大手証券(野村、大和、SMBC日興、みずほ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)とその他準大手・中堅証券会社、そして1990年終わり頃から広がり始めたインターネットを活用したオンライン取引を提供する、いわゆるネット証券があります。
現在では対面とインターネットの両方を活用したサービスを提供している従来の証券会社ですが、これから口座を開いて投資を始める人にとって対面でのサービスの必要性はあまり感じられません。また店舗を構えてスタッフを抱えている以上、どうしても取引手数料が割高になりがちです。ということでネット証券に的を絞ります。
ネット証券は約20社ほどあり、ユニークなサービスや商品を提供しているところもありますが、個別株やETFで長期的に資産形成をしていきたいと考えてる場合には、フルサービスで競争力のある主要ネット証券を利用するのがいいでしょう。
口座数の推移を見ても分かるように、SBI証券、楽天証券、マネックス証券の3社で圧倒的なシェアを占めています。
以降ではこの3社にフォーカスをあてて、共通して取り扱っている米国株、中国株で比較していきます。
取扱銘柄数が多い証券会社は?
外国株を取引できる証券会社を選ぶ際のポイントの1つが取扱銘柄数です。各社取り扱っている銘柄数は以下の通りです。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
米国株 | 個別銘柄 約3,390 | 個別銘柄 約3,230 | 個別銘柄 約3,500 |
ETF 約300 | ETF 約310 | ETF 約310 | |
中国株 | 個別銘柄 約1,370 | 個別銘柄 約900 | 個別銘柄 約2,520 |
ETF 約30 | ETF 約30 | ETF 約30 | |
韓国株 | 個別銘柄 約60 | ||
ETF 2 | |||
ロシア株 | 個別銘柄 約30 | ||
ベトナム株 | 個別銘柄 約320 | ||
インドネシア株 | 個別銘柄 約70 | 個別銘柄 約70 | |
シンガポール株 | 個別銘柄 約40 | 個別銘柄 約40 | |
ETF 5 | ETF 13 | ||
タイ株 | 個別銘柄 約80 | 個別銘柄 約70 | |
マレーシア株 | 個別銘柄 約40 | 個別銘柄 約40 | |
2020年11月時点 |
米国株・中国株に絞れば、取り扱い銘柄の多いマネックス証券、アジアその他の国も含めて考えるとSBI証券が幅広くカバーしています。
売買手数料が安い証券会社は?
次にポイントとなるのが売買手数料です。投資パフォーマンスの低下を招く一つの要因として挙げられるのが「取引コスト」であることから、手数料を低く抑えることができれば、長期的にみて残る資産の額にも大きな差が出てくることが考えられます。
米国株の売買手数料
米国株の取引にかかる手数料は以下の通りです。
マネックス証券 | SBI証券 | 楽天証券 | |
最低取引手数料 (税抜き) |
0ドル | 0ドル | 0ドル |
取引手数料 (税抜き) |
約定代金の0.45 % | 約定代金の0.45 % | 約定代金の0.45 % |
上限取引手数料 (税抜き) |
20 ドル | 20 ドル | 20 ドル |
為替手数料 (1ドルあたり) |
買付時:0銭 売却時:25銭 |
25銭 | 25銭 |
2020年11月時点 |
手数料は3社間では差がありません。唯一の違いはマネックス証券における外国為替手数料です。米国株を取引する際、円をドルに替えたり、ドルを円に替えたりする必要が出てきますが、買付け時にドルに替える手数料が無料となっています。
中国株の売買手数料
マネックス証券 | SBI証券 | 楽天証券 | |
取引手数料 (税抜き) |
約定代金(香港ドル)の0.25 % | 約定代金(香港ドル)の0.26 % | 約定代金(円)の0.55 % |
最低取引手数料 (税抜き) |
45香港ドル(約585円) | 47香港ドル(約611円) | 500円 (約定金額10万円まで) |
上限取引手数料 (税抜き) |
450香港ドル(約5,850円) | 470香港ドル(約6,110円) | 5,000円 (約定金額100万円以上) |
為替手数料 (1香港ドルあたり) |
15銭 | 15銭 | 15銭 |
2020年11月時点 | |||
円換算は1香港ドル13円で計算 |
各社ばらつきがありますが、約定代金が10万円分までであれば楽天証券、200万円以下であればマネックス証券、それ以上であれば楽天証券が手数料を抑えられます。
注文可能時間が長い証券会社は?
外国株を取引する際に、注文受付時間も気になるポイントです。日本との時差もありますので、夜中に起きていないと注文できないとなると取引すること自体がストレスになってしまいます。
注文可能時間 | |
マネックス証券 | 24時間 |
SBI証券 | 9時~翌6時(19時~19時30分を除く) |
楽天証券 | 8時~翌6時 |
サマータイム(3月第2日曜日~11月第1日曜)は通常時間よりも1時間早くなります。 |
マネックス証券の24時間注文受付可能というのはとても便利です。SBI証券と楽天証券に関しては、朝6時(日本時間)から数時間注文が出せません。つまり、この2社ではアフターマーケットでは取引できないことになります。
取引ツールが充実している証券会社は?
外国株取引がしやすい証券会社を選ぶポイントの一つに取引ツールが挙げられます。使い勝手の良いインターフェースで、スムーズに注文を出すことができる点が重要です。各社の対応を見てみましょう。
米国株 | 中国株 | |
マネックス証券 | ・トレードステーション ウェブ ・トレードステーション米国株 スマートフォンアプリ |
ウェブのみ |
SBI証券 | ウェブのみ | ウェブのみ |
楽天証券 | ・ウェブ ・マーケットスピード PC用取引ソフトウェア ・iSPEED スマートフォンアプリ |
ウェブのみ |
米国株ではマネックス証券と楽天証券が専用アプリを提供しています。専用アプリやソフトウェアを使ってガンガン取引したい方にはとても良い味方になります。中国株は各社ウェブのみでの対応です。
マネックス証券
トレードステーション ウェブ
インストールの必要がなく、ウェブブラウザ(Google Chrome推奨)内で動作する米国株取引用ソフトウェア
トレードステーション米国株 スマートフォンアプリ
米TradeStation社の開発した米国株取引専用のスマートフォン向けアプリケーション
楽天証券
マーケットスピード(MARKETSPEED)
PC用の取引ソフトウェア(Mac版もあり)。口座を持っていなくてもデモアカウントを使って体験可能。
iSPEED
米国株式も取引できる幅広いサービス搭載を搭載したスマートフォンアプリ。
情報サービスが豊富な証券会社は?
外国株取引では、日本株と違い、手に入れられる情報量もかなり変わってきます。常に海外のマーケットに注目し、英語での読解が必要なニュースやレポートに目を通すなど、現実的には難しいでしょう。そういった点を補ってくれる証券会社の情報サービスはとても重宝します。
情報サービス | ||
マネックス証券 | 米国株 | ・マーケット概況 ・USマーケットデイリー ・石原順の米国株トレンド5銘柄 ・米国株銘柄(企業)レポート ・銘柄スカウター米国株(銘柄情報・スクリーニング・ランキング・銘柄比較機能) ・バロンズ・ダイジェスト |
中国株 | ・銘柄スカウター中国株(銘柄情報・スクリーニング・ランキング・銘柄比較 | |
SBI証券 | 米国株 | ・アメリカNOW! (その週の注目すべき米国株5銘柄) ・米国株式One Pager (1ページにまとまった企業情報) ・米国ウィークリー・マンスリー (毎週更新される株式の展望やパフォーマンス、イベント情報など) ・モーニングスター個別銘柄レポート ・米国株スクリーナー ・バロンズ・ダイジェスト |
中国株 | ・中国経済レポート | |
楽天証券 | 米国株 | ・投資情報メディア「トウシル」 ・バロンズ・ダイジェスト |
中国株 | ・投資情報メディア「トウシル」 |
3社で共通して提供されているのが「バロンズ・ダイジェスト」。「バロンズ・ダイジェスト」とは、米国で有名な投資週刊誌「BARRON’S(バロンズ)」の記事から、厳選した米国の株式、証券などの金融商品や米国経済のプロ向け情報を、日本語にて提供されるダイジェスト版です。
難しい内容も含まれていますが、とにかく「日本語」で読めるのが嬉しいです。継続して読み続けることで、マーケットや金融商品、経済、著名投資家のビューなど、多くの知識が身につきます。
外国株(米国株)を取引できるオススメの国内証券会社は?
結論としては3社の中からであればどこでも問題ありません。業者間の競争が起こることで、主だったサービスや商品に大きな差異が生じることはないでしょう。
各社とも外国株に対して特定口座、一般NISA口座に対応しているので、税金の計算や確定申告の手間も少なくて済みます
あとはそれぞれの証券会社とその関係会社との間で提供されるサービスの違いでしょうか。グループ内にネット銀行があれば、入出金もスムーズに行えます。さらに、SBI証券であればTポイント、楽天であれば楽天ポイントなど、普段自分で利用しているポイントサービスとの相性で選択するのも良いと思います。